スポンサード リンクスポンサード リンク

がん幹細胞撲滅による画期的がん治療法への期待

がん幹細胞と抗がん剤

現在、がんの治療薬として用いられている抗がん剤は、がん細胞が分裂するときにDNAの二重らせん構造がほどけて不安定になることを利用し、その瞬間を攻撃するものです。

従って、分裂頻度が高い通常のがん細胞には抗がん剤が有効ですが、がん幹細胞は分裂頻度が非常に低いため、抗がん剤が効きにくいという問題がありました。

がん幹細胞の治療法研究

細胞分裂の仕組みを研究している九州大学の中山教授は、がん幹細胞内では、「Fbxw7」という分裂を抑制する遺伝子の動きが活発であることを発見し、この働きを弱めてがん幹細胞分裂のスピードを上げれば、がん幹細胞にも抗がん剤が効くのではないかと考えました。

白血病のマウスに幹細胞の分裂促進剤を投与した実験では、抗がん剤のみを投与し、分裂促進剤を投与しなかったマウスの白血病再発率はほぼ100%でしたが、分裂促進剤を投与したマウスの再発率は約20%だったことがわかりました。

2009年には、国立がんセンター研究所で、白血病のマウスからがん幹細胞を取り除き、死滅させることに成功しています。

この実験では、がん幹細胞の表面に「M-CSFR」というたんぱく質があり、「M-CSFR」ができた細胞が体内で増えると全て白血病になるという点に着目し、協和発酵キリンが開発した「M-CSFR」の動きを妨げる化合物がマウスに注射されました。

その結果、がん幹細胞、がん細胞ともに死滅し、現在用いられている抗がん剤を与えたマウスに比べて、生存期間が3倍に延びたことが明らかとなったのです。
スポンサード リンク