スポンサード リンクスポンサード リンク

がん幹細胞研究の今とがん撲滅までの展望

今回は、がん幹細胞研究の現時点での到達点と、近い将来に癌を根絶させるまでの展望について紹介させていただきます。

がん幹細胞研究の今

2008年、慶応大学の佐谷教授が、正常な細胞にガン化を促す遺伝子を導入することで、マウスの正常細胞からがん幹細胞を作り出すことに成功ししました。

2013年10月には、大日本住友製薬が、米国に抗がん剤の販売を目的とする新会社「Boston Biomedical Pharma(BBP)」を建設することを発表しました。
「BBP」のCEOを務めるのは、ハーバード・メディカルスクールで高名な教授のポストドクターをしていたチャン氏で、MRと抗がん剤の専門スタッフ約100名の体制を構築する予定です。

販売される抗がん剤「BBI608」は、がん幹細胞に対して細胞死を誘導する新しいメカニズムの低分子化合物であり、がん細胞・がん幹細胞の両方に作用する新薬です。
現在はフェーズ3(臨床試験の最終段階)の段階にあり、米国では、2016年3月期における販売開始を目標に開発されています。

また、2013年9月24日には、がん幹細胞を標的とした抗がん剤の開発を行っている米国マサチューセッツ州にあるVerastem社が、日本人の進行固形がん患者を対象とした焦点接着班キナーゼ阻害剤「Defactinib」の臨床試験を、日本国内で開始したと発表しています。
文部科学省の「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」では、がん幹細胞を標的とした根治療法の実現を研究テーマとして、がん幹細胞の特性の解明をはじめとする医薬品開発へつなげる開発研究が推進されており、近未来におけるがん撲滅への成果がおおいに期待されています。

がん幹細胞抑制にはリウマチ治療薬が有効との研究結果

がん幹細胞抑制とリウマチ治療薬

イギリスで1991年から行われた調査で、関節リウマチの患者は癌による死亡率が低いという調査結果が報告され、リウマチ患者とがんとの関係性について研究を重ねたところ、リウマチの治療薬ががん幹細胞を抑制しているのではないかという説が有力となりました。

関節リウマチの治療薬には、免疫に働きかけて病気の進行を抑える「抗リウマチ薬(DMARDs)」、炎症を抑える抗炎症剤、新しい治療薬として注目されている生物学的製剤の3つがあります。

国立がん研究センター東病院では、リウマチの治療薬を使った胃がん患者への臨床研究が行われており、研究には「スルファサラジン」という潰瘍性大腸炎の治療にも使われる抗炎症剤が使われています。

がん幹細胞の表面には、栄養を取り込む特殊なポンプがあり、栄養を取り込むことで外部からのストレスに対抗していることがわかっています。

リウマチの治療薬にはこのがん幹細胞の表面にある、栄養を取り込むポンプにふたをする効果があり、マウスを使った実験では、リウマチの治療薬をがん幹細胞に投与したところ、4週間でがん幹細胞がほとんど消えていたことがわかりました。

ちなみに、スルファサラジンは、20年以上も前から使われている安価な既存薬なので、新薬を開発するために年月を費やす必要がなく、既に臨床試験段階に入っています。
例えば慶応大学では、がん幹細胞に作用する成分を使った新薬候補を胃がん患者に使ったところ、数名の患者でがん幹細胞が減ったことを確認しました。
スポンサード リンク